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合格者に聞く、ビルクリーニング技能検定受検対策

2022/08/09 15:00

2022/08/09 15:00 更新

ビルクリーニングの現場で活躍するクリーンクルーにとって、その知識とスキルを証明する国家検定が「ビルクリーニング技能検定」です。清掃作業監督者になるための必要資格の一つとして1級ビルクリーニング技能士が設定されていることなどから、取得を目標とする方も少なくないでしょう。
以前の特集では、3級に挑戦する方々の声や、2級・1級とステップアップを目指す方々の声を紹介しましたが、ここではそんな合格者の皆さんの声を交えながら、受検対策について取り上げていきます。



受検準備講習会や過去問題の活用が合格のカギ

「ビルクリーニング技能検定」は2016年度より、単一等級から複数等級(1級・2級・3級・基礎級)試験となりました。自身の力に合わせて受検できる、挑戦しやすい仕組みが特徴です。
ここ3年の1~3級の合格率は以下グラフの通り。やはり等級が上がるほど合格のハードルが高まる印象ですが、2021年度では合格率は45~55%の範囲に収まっており、1~3級を合計すると受検者3,936人のうち、50%を超える1,994人が無事に合格しています。

試験内容は「実技試験」と「学科試験」に分かれており、実技試験では配点100点のうち60点の獲得が、学科試験では1~2級では配点100点のうち65点、3級では配点50点のうち33点の獲得が、合否基準として設定されています。

そのうち対策が難しいのが、実際に作業の練習を行う必要がある「実技試験」です。必ずしも研修施設が整っている会社ばかりではなく、練習スペースの確保が困難なケースもあるでしょう。そこでお勧めしたいのが、一般財団法人建築物管理訓練センターが開催する「ビルクリーニング技能士受検準備講習会(1級・2級・3級)」です。
1~3級の等級ごとの実技試験と学科試験の講習を実施しており、実技講習では、各等級の試験に応じた洗浄作業や清掃作業を学ぶことができます。

〇「ビルクリーニング技能士受検準備講習会」実技訓練内容

1級

2級

3級

課題1

弾性床表面洗浄作業

弾性床ドライ清掃作業
(スプレーバフ法)

弾性床清掃作業
(ドライバフ法)

課題2

繊維系床部分洗浄作業
(バフィングパッド方式)

繊維系床しみ取り作業

ガラス面洗浄作業

課題3

壁面洗浄作業

トイレ定期清掃作業
(洋式大便器・温水洗浄便座)

トイレ日常清掃作業
(洋式大便器・温水洗浄便座)



北海道から九州まで、全国8つの主要都市で開催しており、実技のみ、学科のみの受講も可能。先着順での応募となるので、早めにチェックしてみましょう。
ビルクリーニング技能士受検準備講習会(1級・2級・3級)について詳細はこちら

また2021年度の実技試験の内容や実技試験用の資機材一覧を、当協会ホームページで公開しています。等級ごとの実技試験の課題について、仕様/作業手順/試験時の注意事項/支給材料/試験前の準備作業/標準配置図を掲載しており、こちらも受検対策に有効な情報となっていますので、ぜひ活用してください。

合格者の声から見える効果的な対策とは

では実際に「ビルクリーニング技能検定」に合格した方々はどのように対策を進めていたのでしょうか。ここからは合格者の皆さんの声を参考に、具体的な試験対策について掘り下げていきます。もちろん試験対策のやり方に“正解”はありません。自分に適した方法を見つけるためのヒントとして活用してください。

■学科試験対策
「過去5年分の過去問題を何度も繰り返し解きました。段々と問題の傾向がわかり、気を付けるポイントが見えてきます」
「テキストに加えて、会社のオリジナルのプリントや過去問題で勉強しました。また会社がスマートフォンのアプリで作ってくれた問題集は、特に暗記の際などに役立ちました」

アプリ問題集イメージ

学科試験対策で多く聞かれたのが、“とにかく過去問題をしっかりとやり込む”という対策です。3~5年分を1回だけではなく、何度も取り組んでいる人が多く、その中で毎年の出題傾向が見えてきます。
また最近では、問題が自作できる勉強用スマホアプリなども多く登場しており、専門用語の暗記や真偽法の対策として活用することができます。正解率の向上などがデータで見れるほか、ゲーム感覚で楽しみながら学べるなど、色々な活用効果も期待できるでしょう。
なお過去3か年の問題と正答は、全国協会ホームページで公開しています。

■実技試験対策
「テキストで勉強したことを、毎日の清掃業務の中で思い出して、確認しながら仕事に取り組んでいました。結果的に毎日の仕事が、技術を身につけるための復習になりました」
「会社の研修施設が開放されているので、仕事の後に足を運んで自主練習をしていました。また現場で一緒に働く先輩社員に、実技試験に関わる作業について教えてもらうこともありました」
「会社が独自の動画を作ってくれて、通勤途中に動画を見ながらイメージトレーニングをしていました」

ポイントが一目で分かる独自の動画を作成

前述の通り、実技試験対策では練習スペースの有無が大きなポイントとなっています。一方でなかなか練習スペースが確保できない場合でも、毎日の作業現場や、一緒に働く上司や先輩社員のアドバイスを活用することで、実技試験で求められる動作や身のこなしを身につけることができます。自宅での勉強が難しい実技試験対策では、毎日の仕事で得られる技術を受検対策にいかにつなげていくかがポイントとなりそうです。

■会社のサポート体制
「試験以外の悩み相談にも乗ってくれるトレーナーに恵まれて、とてもありがたかったです」
「仕事の後に研修がある日は、早めに仕事を終えられるよう会社が調整してくれて、しっかりと時間をとることができました」
「外国人社員向けに、日本語のテキストの翻訳版を会社が用意してくれました。ただし外国語では説明できない作業もあるので、そこは現場で他の社員の方に実際に作業の中で教えてもらいました」

会社として社員の受検をサポートする場合、気を付けるべきポイントも合格者の声から見えてきました。トレーナーを用意して研修の時間を設けるだけでなく、社員が受検準備をしやすい環境を整えること、教育だけでなく不安や悩みを相談できる人物を用意することも大切。制作の手間はかかりますが、社員が学びやすいよう、予想問題や実技の手順をまとめたオリジナルの教材をトレーナーの方々が自ら制作している会社も少なくありません。また技能実習生の場合は、日本語の能力などに合わせたサポートも欠かせないものとなります。

このように対策方法はさまざまですが、何より確かな合格を目指すには、早めの情報収集と受検対策のスタートがカギとなります。また会社や上司、先輩社員など、周囲の手厚いサポートが、受検者を合格に導く手助けとなるでしょう。
「ビルクリーニング技能検定」は、クリーンクルーがこれまで培った技術や知識を国家資格として証明できる貴重な機会ですので、より良い受検対策方法を見つけて、しっかりと準備をしていきましょう。


ビルクリーニング技能士の詳細についてはこちら