活躍の舞台を広げる「ビルクリーニング技能検定」 ~2級・1級で叶えるステップアップ~
2022/07/15 12:00 更新
ビルクリーニング作業に必要な技能についての習得レベルを評価する国家検定である「ビルクリーニング技能検定」。業務委託元から検定取得者の配備を求められるケースも少なくなく、現場クリーンクルーの確かなスキルを証明する、重要な資格のひとつとなっています。
ここではそんな「ビルクリーニング技能検定」を活用してスキルアップを図るクリーンクルーや、検定を業務品質や顧客からの信頼の向上に活用する企業の声をお届けします。
前回の記事では、そのスタートとなる3級をさまざまな立場から取得した方の声をお伝えしましたが、今回は2級、そして1級へと挑戦する方をピックアップ。資格の取得から得た心境の変化や、支えとなったサポート体制について伺いました。
インタビュー①
日本空港テクノ株式会社
吉田 壮良さん(右)
鎌田 裕貴さん(左)
軽度の障がいを抱えながら、羽田空港内のクリーンクルーとして3年目を迎える二人。特別支援学校在学中に将来を見据えて受検した「ビルクリーニング技能士」の資格を毎日の仕事に役立てながら、いまでは2級・1級への挑戦が、成長のための大きな目標になっていると語ってくれました。
――お二人は特別支援学校在学中に「ビルクリーニング技能検定」を受検。入社後にそれぞれ上級に挑戦されているとのことですが。
吉田:就業技術科2年生で「ビルクリーニング技能士」3級を、3年生で2級を取得しました。そして入社2年目の去年、1級を受検して実技は合格。現在は学科の勉強を頑張っています。
鎌田:私は就業技術科3年生で3級を取得。入社して1年目に2級に挑戦して、実技は合格。学科の方は少し苦戦していますが、3度目の正直を目指して(笑)勉強を頑張っています。
――お二人とも着実にステップアップを重ねていますが、受検で苦労したことはありますか。
鎌田:入社後は周囲にビルクリーニング技能士も多く、また毎日の仕事をより良くするためにと、2級の受検を決めました。受検対策は個人的には、体で覚えられる実技の方が学科より勉強はしやすいと感じます。
一方で学科については、会社がスマートフォンのアプリでつくってくれた問題集などを活用しながら勉強をしています。学校にいた頃も多くの先生方が支えてくれましたが、いまも変わらず周囲の方々の力強いサポートに、とても感謝しています。
吉田:在学中に3級、2級とステップアップするなかで、清掃の仕事に就くからにはと、自然と1級の取得が将来の目標になっていました。
私はどちらかというと、実技の方が苦労するタイプです。社内の指導員の方々の丁寧な指導に助けられて、無事1級の実技に合格できました。
――資格を取得したことで仕事との向き合い方は変わりましたか?
吉田:検定に合格することが、大きな自信につながりました。学んだ知識のおかげで以前よりスムーズに仕事ができていますし、汚れを見落とさないための注意力が上がるなど、間違いなく毎日の仕事にプラスになったと感じます。
また2級、1級とステップアップできていることが、仕事のモチベーションアップにもつながりました。これから私達と同じ立場の後輩が入社してくると思いますので、いつかその指導にも関わっていきたいです。
鎌田:トイレやカーペットなど、苦手意識をもっていた作業があったのですが、2級の勉強と実技試験合格を経て、安心して作業に取り組めるようになりました。
いまは2級の学科合格を目指していますが、将来的な目標はやはり1級を取得すること。これからも勉強を続けながら、いま取り組んでいる定期清掃だけでなく日常清掃も任せてもらえるような、信頼されるクリーンクルーを目指していきます。
■所属企業の声 ―
日本空港テクノ株式会社 環境サービス部 環境管理課 歌田 めぐみさん
障がい者ということで必要以上に簡易な業務を任せるケースも見られますが、当社が目指しているのは、本人達がやりがいをもって仕事に向かうことができる、適性に応じてしっかり仕事に打ち込める環境です。
二人は現在嘱託社員ですが、正社員となるには「ビルクリーニング技能検定」1級の実技には合格してほしいと入社時に伝えていますし、入社後には早朝や夜勤の業務にも就いてもらっています。それでも「頑張ります」と言ってくれるかどうか。
技能検定の受検は、そんな志願者のやる気を確認するひとつの指針です。また仕事を型で覚えるのではなく、意味を理解して作業するためにも、技能検定の学びは効果的です。2級、1級とステップアップするなかで、仕事の正確性が大きく変わってくると感じます。
インタビュー②
興和不動産ファシリティーズ株式会社
小倉 陽子さん(右)
蜂須賀 啓介さん(左)
さまざまな現場に足を運び、現場責任者と協力しながら清掃品質の維持・促進を管轄する同社の「クオリティマネジメントチーム(QMT)」。そこに所属する二人は、「ビルクリーニング技能士」1級取得を通して、清掃現場を支える存在としてのステップを着実に上がっています。
――どのようなきっかけで「ビルクリーニング技能検定」1級を受検したのでしょうか?
蜂須賀:私は以前別の清掃会社に勤務していて、職業訓練校(都立城南職業能力開発センター)を経て当社に入社したのですが、前職の頃には、作業の意味も教えてもらえず、言われた作業をこなす日々でした。
その後、職業訓練校や当社の先輩方に、はじめて作業の意味や背景にある考え方を教えてもらい、私としては、とても勉強になるし、何より目的を理解して仕事ができることが楽しかったんです。
「ビルクリーニング技能士」の取得は、社内でステップアップするためにも重要ですが、私としては、仕事への理解をさらに深める大切な機会として捉えていました。
小倉:私は過去にアルバイト程度の経験はありましたが、正社員として清掃業界に入ったのは、当社が初めてであり、2年目に1級を受検。
私の場合は職業訓練校で学んだことを忘れないうちに、ということに加え、社内で現場管理の立場に就くために1級の取得が必要だったこともあり、早めの受検を決めました。その後、翌年に清掃作業監督者の資格を取得。
さらに私も蜂須賀さんも、今年中に建築物清掃管理評価資格者の取得を予定しています。
――1級の取得によって、日々の仕事にどのような影響がありましたか?
小倉:1級の取得を通して、清掃作業の工程を、大きな視野で見れるようになりました。
ひとつの作業だけでなく、この前に何をして、この後に何をするのか。さらには全体として工程がどのように組まれているのか。それぞれの清掃作業を連続して見れることで、作業の引継ぎ、効率的な作業の進め方、またチームワークの構築にもつながっていると感じます。
蜂須賀:受検のための勉強をしている段階から、学んだことがすぐに翌日の現場で活きてきました。
「なんでこの洗剤を使うのか」「ポリッシャーはどう使うべきなのか」など、学んだことを思い浮かべながら作業をすることで、日々の仕事の品質も、学んだ知識への理解も同時に高まっていく。その結果として最終的に1級に合格することができた、といった印象です。
――これから2級・1級を受ける方々へのアドバイスはありますか?
小倉:特に女性に言えることかもしれませんが、体調管理が大事です。
当社もサポートが手厚く、仕事の後に研修所で勉強ができる環境があったのですが、どうしても身体的にキツくなってきて。仕事と並行しての勉強ですから、無理をしないことも時に大切です。
蜂須賀:私の場合は、実はあまり「受検対策」と意識していませんでした。
教科書も“毎日の仕事の参考書”といった感じで、常に日々の仕事と紐づけながら、学んだことを現場で確認して、というサイクルを大切にしていました。
――仕事において今後の目標をどのように描いていますか?
蜂須賀:今年、建築物清掃管理評価資格者を取得する予定ですが、品質を評価するだけでなく、どうすれば改善できるのか、どう作業すればいいのかを現場の人に伝えながら、一緒に品質を高めていける存在になりたいです。
小倉:私はとにかく清掃作業が好きなんですよね(笑)。なので、これからも現場を大切にしていきたいです。
そしてこれまでの人生でマネージャーという立場に就いたことがないのですが、新しい挑戦として、色々な人が働きやすい現場、他社とスムーズに協働できる現場がつくれる現場管理者を目指していきます。
■所属企業の声 ―
興和不動産ファシリティーズ株式会社 クリーン業務部長 浅井 洋一さん
当社では約8割近い社員が「ビルクリーニング技能士」1級の資格を取得しており、同資格に関しては、業界随一の体制を備えていると自負しています。
受検者に対してほぼマンツーマンで指導ができる研修体制を用意し、1級合格率は常に80%以上。昨年は合格率100%を達成しました。
“品質の興和”を掲げる上で、「ビルクリーニング技能士」の存在は、その他の各種資格と同様に、お客様からの評価と競争力を高める重要な要素となっています。
我々清掃業界にとって、現場の人材こそ最も大切に考えるべきもの。常にその姿勢を忘れず、現場の社員と誠心誠意向き合うことを重視しています。時代の変化に合わせながら、これからも現場の社員が働きやすい、成長できる環境をつくり続けていきます。
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