【特集】ウィズコロナ時代のビルメンテナンス
社会の「感染制御ニーズ」を満たす一手とは?
2022/12/26 17:00 更新
感染症が身近に存在する時代
新型コロナウイルス感染症のパンデミックから約3年。いまだ完全な終息は期待できず、わが国では11月、日本医師会が「感染の第8波に入った」との認識を示しました。
いまや「新型コロナウイルスは身近に存在するもの」という認識のもと、正しい感染対策を徹底しながら普段どおりの生活を維持する「ウィズコロナ時代のニューノーマル」が、社会ニーズとなりました。
正しい感染対策を徹底しながら、普段どおりの生活をする時代 |
注意すべき感染症は、新型コロナウイルスだけではありません。冬季はさまざまな感染症が増える傾向にあり、今冬は「新型コロナウイルス」「インフルエンザウイルス」「RSウイルス」の3つが同時に流行する“トリプルデミック”への警戒感が、世界中で強まっています。
建物における「感染制御ニーズ」は、ますます重要度を増しているといえます。
全国ビルメンテナンス協会が会員事業者を対象に実施している『実態調査』によれば、「顧客より消毒・殺菌業務等の追加要請があり、仕事が増えた」とする事業者が増加していることがわかっています。
「消毒・殺菌業務等の仕事が増えた」と回答した事業者割合(全国協会「実態調査」より) |
ウィズコロナ時代のビルメンテナンス
「新型コロナウイルス感染症が日本国内で確認されてから、私たちビルメンテナンス事業者の業務内容には大きな変化がもたらされました」と語るのは、甲信越地方で病院などの清掃を請け負うビルメンテナンス事業者です。
ホテルの客室の清掃・消毒や、公共施設の管理を受託していた場合、罹患者が目的の施設までどのような動線で行動したかなどの移動経路の把握だけでなく、その導線上にある廊下や階段の手すりといった罹患者が接触しやすい場所の消毒を行う必要があると、担当者は語ります。
「罹患者がエレベータ等を利用していた場合は、エレベータ内・外のボタンも含め、手で触れる可能性がある範囲の徹底的な消毒を行いました。保育園など子どもの多い公共施設では『子どもがどこを触っているか』の予想がつきづらいこともあって、全館消毒を行ったこともあります」
コロナウイルス感染症と共生しながら社会活動を維持するため、ビルメンテナンス事業者は科学的な根拠に基づいた清掃・消毒を徹底的に行い、ビル利用者に安全・安心を届けています。
求められる清掃・消毒結果の「見える化」
しかしながらウイルスは目に見えないため、本当の意味でビル利用者の不安を払拭するには、「清掃・消毒の結果を可視化する」ことも求められます。
コロナ禍における衛生的環境の研究を行っている公的機関でも、消毒後の菌の残存数を測定する調査を行うなど、その有用性が認められています。
「例えば、除菌洗剤などを使用した清掃を行うだけでなく、清掃前と清掃後でどれだけきれいになったのか、掃除した効果というものを客観的に測定し顧客に提示することは、顧客にとってわかりやすい、ひとつの指標になります。ウィズコロナでは、ただ『やりました』と報告するだけでは、お客さまの安心を得ることができません。“信頼に足る仕事”とは、きちんと作業を行うだけでなく、必要な道具を揃え、客観的な効果を示してお客さまに伝え、ご理解いただける仕事だと思います」