建築物空間を人々の生活や生産に利用するならば、それは人間が住みやすく、働きやすい「生きた空間」でなければなりません。建築物空間を「生きた空間」にするためには、まずは健康的空間、すなわち安全で衛生的空間を形成すること、その上に豊かさや便利さを加えた快適空間を築くことが必然です。
近年、この建築物空間は様々な装置によって急速に機能を高め、ハイレベルな豊かさを競うようになりました。建築物がその機能を高めれば高めるほど、その維持・保全が重要な問題になってきます。豊かな生きた建築物空間を創ることが、建築物に対する強い社会的要請であるとするならば、そのために遂行される私たちの維持管理業務は、極めて社会的責任の重い業務だと自認するところです。
しかし、地球環境の保全がすべてに優先する大命題となっている現在、わたくしたちは快適空間を理由にエネルギー消費の抑制努力を無視することはできません。快適空間の一定レベルを維持しながら、どこまでエネルギー消費を低下させることができるのか、ビルメンテナンスにとって大きな社会的責務がもうひとつ追加されていることを強く感じているところです。
このようなビルメンテナンス業界の社会的責務を踏まえ、私たち公益社団法人 全国ビルメンテナンス協会は、建築物衛生法をはじめとする諸法律を遵守しながら会員の専門的技術及び資質の向上を図り、建築物空間を「生きた空間」にすべく、今後も諸事業の推進に力を注ぎ続けます。
2019年5月吉日
公益社団法人 全国ビルメンテナンス協会
会長 一戸 隆男