インスペクターの取得・活用で自社のビジネスをレベルアップ!
2022/06/09 17:00 更新
全国ビルメンテナンス協会の認定資格である建築物清掃管理評価資格者(通称ビルクリーニング品質インスペクター。以下「インスペクター」)は、ビルメンテナンス事業者の品質管理体制促進を図るとともに、ビルオーナーやその利用者に良好な品質を提供し、環境衛生および保全の維持向上に寄与することを目的としています。
さまざまな立場でインスペクターを推進・活用している方々に、その有用性を伺いました。
インタビュー①
株式会社ビケンテクノ
教育訓練課 課長代理・山本拓也さん
大阪に本社を置く株式会社ビケンテクノでは、社内独自の品質管理システムであるクリーンマスター制度を導入。ビルメンテナンス事業での品質を向上させ、他社との差別化を図るため、第三者の立場「お客さまの立場」で作業品質を客観的に評価することに役立ててきました。全国協会のインスペクター制度開始と共に、これまでの社内制度を補完するものとして資格取得に注力し、現在では現場管理を行う営業職を中心に約60名がインスペクターの資格を取得しています。
同資格の講習で講師としても活躍している教育訓練課の山本拓也さんは、「インスペクター制度は、それまで属人的だった作業品質に関して基準に則った評価をし、改善をしていくというPDCAサイクルを効果的に回しながら、品質の均一化や定量化・定性化ができるようになったという点が大きいと思います」と話します。
同社ではインスペクターが現場状況をきめ細かく評価すると同時に、お客様やクリーンクルーの声も直接聞き取り、その内容をトップに伝え、トップダウンで改善を図っています。現場を定期訪問し、クリーンクルーに対して作業改善・効率化・機械化の提案、指導も行っています。
「今後、より多くのインスペクターを生み出すことで資格が評価され、品質評価の重要性が高まったり、新たな価値に繋がっていったりするのなら、さらに有効利用できるようになると思います」と期待を込めています。
インタビュー②
東京美装興業株式会社
業務管理部品質管理課・川村典子さん
北海道から九州まで、豊富な拠点とネットワークを誇る東京美装興業株式会社では、業務管理部品質管理課という品質管理に特化した部署を完備してインスペクション業務にあたっています。
同社の川村典子さんは、「インスペクションが業務の中でかなりのボリュームを占めており、私も2021年度は50回ほど実施しています。 “定期的なインスペクション実施”が仕様に入っているビルに伺うことはもちろん、営業からリクエストが入ってスポット的に伺うこともあります。会社として品質の向上を心掛けていることや、定期的なインスペクション実施ができる点を入札時にアピールポイントにして受注に繋がったケースもあります。
また第三者としてインスペクションを実施している中で、クリーンクルーが気づかない点などを指摘することもあります。温水洗浄便座にフィルターがあることを知らずに放置されたホコリ汚れ、見落としがちな大便器のリム(裏側)部分の汚れなどは、よく指摘にあがります。
そうした汚れへの日常からの対処方法や、効果的な資機材の情報などもお伝えしています。
インスペクションで指摘されなければ永遠にそのままだった汚れですが、
こうしたインスペクションが、指摘されたクリーンクルー自身の清掃技術向上にも繋がり、品質の標準化が図れます。結果的にお客様の満足度もあがるのでインスペクションは不可欠になります」
川村さん自身はオンライン講習を活用して資格取得に励んだとのこと。
「オンラインなので仕事の合間に受講できるということもあり、とても便利でした。社外の方と現場をご一緒してお話する機会もあるのですが、ビルクリーニング技能検定1級取得後に、次のステップとして取得する方が多い印象ですし、営業職の方やベテランの方が取得していることが多いので、インスペクターという共通の話題を通して情報交換することも有意義だと感じました」
インタビュー③
公益社団法人東京ビルメンテナンス協会
専任講師・北山 克己さん
東京ビルメンテナンス協会の専任講師を務める北山克己さんは、
前職であるビルメンテナンス事業者では、インスペクターとして、長年、
清掃品質の向上に努めてきました。
今回、そのときのご経験を改めて振り返っていただきました。
前職のビルメンテナンス事業者では、全国協会のインスペクター制度ができあがる以前から、社内に「作業品質向上チーム」を立ち上げ、本社の品質管理担当者が独自の品質チェックを実施してきたといいます。そうした背景から、インスペクターも意欲的に社員に資格取得を勧めてきました。
定着するまでは試行錯誤を重ねてきたという北山さん。当初は、本社の品質管理部門だけがインスペクターの資格を取得。品質評価を始めたものの「特に古くからいる社員はインスペクターの指摘を快く思わない傾向がありました」と振り返ります。
「繰り返し繰り返し愚直に改善ポイントを説明することで、インスペクターと現場との信頼関係も生まれ、徐々にインスペクションが浸透していきました」
インスペクションの定着に必要なのは、環境づくりと語る北山さん。
「現場自らがインスペクションを学習し、体得できる体制をつくることではないでしょうか。体制が整えば、より精度の高い品質評価や改善につながり、清掃サービス全体のクオリティも高められます」
同社では、資格取得の際の祝金支給制度を創設したり、品質管理チームの責任者や現場責任者にも積極的に資格取得を推奨してきました。
各現場従事者に対する品質管理の重要性を認識させる取り組みも愚直に行ってきたそうです。その成果として3カ月に一度セルフインスペクションを実施するまでに定着したとのこと。品質チェックをその場の指摘で終わらせることなく、「なるべくマニュアル化や資機材リストを作成するなどして普遍化させました」と北山さん。インスペクションとマニュアル、研修をすべてリンクさせることで、品質向上や個々のスキルアップにつながったといいます。
「現在、管理会社でもインスペクションを導入する企業が増えつつあります。一方で、その多くは評価するところに終始し、問題点を抽出し、改善するまでには至っていません。そこを補完するのがインスペクターの役目です。お客さまからの指摘事項を真摯に受け止め、改善方法を提案し、実行してはじめて、作業品質の向上が図れます」と語る北山さん。
こうしたインスペクションの実績、体制は、入札時のアピールポイントとしても有利に働きます。実際に本社と現場が一体となって定期的にインスペクションしている点が評価され、大型案件の受注に成功した事例や、お客さまもインスペクターの資格を取得し、一緒に評価、検証を行うことで信頼関係を高め、継続受注されている事例も多数見受けられるとのこと。
北山さんの話からも、インスペクターは企業の業績拡大に大きく貢献していることがわかります。
【講習の概要と実施日程】
2022年度は5月24日~6月13日までWEB・紙申請での受講受付を実施。
8月1日~30日にPC等で講義動画の視聴で動画講義受講を経て、
9月~10月に指定された会場にて1.5日間の実技演習を予定しています。
資格証の有効期限は4年間ですが、有効期限内に1回フォローアップ講習を受講することで有効期限がさらに4年間延長されますし、フォローアップ講習はオンラインでも可能と、受講しやすくなっている点も特徴です。
本講習の申し込み方法、受講方法などの詳細は、
特設サイトをご覧ください。
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