安全活動が企業価値に! 現場の士気が高まる事例の使い方とは
2022.08.09 15:00 更新
厚生労働省「『見える』安全活動コンクール」
危険箇所の改善や転倒・転落の防止、高齢者の体力づくり等、ビルメンテナンスの現場では当たり前のように実施されている安全活動。各事業場が蓄積してきた労働災害防止の好事例を業界を超えて共有できれば、課題の早期解決や、労働災害の減少を加速することができるのではないでしょうか。
その意味で注目したいのが、厚生労働省が「あんぜんプロジェクト」の一環で行っている「『見える』安全活動コンクール」です。
今年で12回目を迎えるこのコンクールは、事業場等で実施されている労働災害防止活動の「見える化」の事例を募集し、国民からの投票等により優良事例を選ぶものです。通常は視覚的に捉えられない職場のでの危険性・有害性を可視化させる「見える化」の取り組みに、昨年は742件の応募が寄せられました。
優良事例の紹介ページではさまざまな業種での好事例が公開されていますが、建設業や製造業が大半を占めています。ここに約117万人もの方が従事されているビルメンテナンス業界の事例が加われば、わが国の産業全体での安全衛生活動に拍車がかかるとともに、ビルメンテナンス業界にとっても有益な情報の共有ができるのではないでしょうか。
応募する企業の原動力となっているのが、安全ブランドの向上です。受賞作に選出されると、優良な活動事例として企業名や業種が広く公開されます。企業の積極的な安全活動を外部に発信できれば、企業価値が上がり、社員の士気も高まります。また、その企業の従事者は安全に対する意識がより高まることが期待できます。
令和3年度の応募作品では、新型コロナウイルス感染症の流行を受けて安全対策と感染症対策を両立する取り組みや、VRやウェアラブル端末等の新技術を用いた事例が寄せられました。また、ナッジ(※1)を活用した「見える化」事例が100件を超えるなど、時代にあった事例も目立ってきています。
※1:ナッジ=行動科学の知見に基づく工夫や仕組みによって、人々がより望ましい行動を自発的に選択する手助けをする手法
受賞作を紹介する特設ページには、すぐにできる身近な取り組みも多数、公開されています。本コンクールの受賞事例を見て、活用し、より安全な職場をつくるという安全活動の本質を押し進めてくれる貴重な機会となっています。
求む!「見える」安全活動の創意工夫事例。期間は9月30日まで
「『見える』安全活動コンクール」の応募は9月30日(金)まで。応募事例は特設ホームページに掲載され、11月1日(火)~12月31日(土)の間に実施する投票結果に基づき、優良事例が決定します。
令和4年度は、昨年度より新たな類型として加わった“ナッジ”を活用した例も含め、最先端技術を用いた取り組み、事業場の経験や発想に基づく創意工夫をこらした事例など、「見える化」の取り組みを下記の9類型で募集しています。
Ⅰ.転倒災害及び腰痛を防ぐための「見える化」
Ⅱ.高年齢労働者の特性等に配慮した労働災害防止の「見える化」
Ⅲ.ナッジを活用した「見える化」
Ⅳ.外国人労働者、非正規雇用労働者の労働災害を防止するための「見える化」
Ⅴ.熱中症を予防するための「見える化」
Ⅵ.メンタルヘルス不調を予防するための「見える化」
Ⅶ.化学物質による危険有害性の「見える化」
Ⅷ.通勤、仕事中の健康づくりや運動の「見える化」
Ⅸ.その他の危険有害性情報の「見える化」
積極的な安全衛生活動を展開しているビルメンテナンス業として、ぜひ自社の事例を応募してみてはいかがでしょうか。
詳しくは「『見える』安全活動コンクール」のウェブサイトをご覧ください。
「あんぜんプロジェクト」の参加企業も募集中
厚生労働省では「あんぜんプロジェクト」の参加企業も募集中です。「あんぜんプロジェクト」とは、労働災害のない日本を目指して、働く人の安全に一生懸命に取り組み、「働く人」「企業」「家族」が元気になる職場をつくるプロジェクトです。
参加企業になることで、公式ロゴマークの名刺への掲示、企業ウェブサイトへの掲載、ロゴステッカー、ロゴバッジなどが使用でき、自社の安全対策に積極的に取り組んでいる企業であることを広くアピールできます。
参加にあたっては、自社の安全活動の状況、労働災害の発生状況等をホームページで公開するなど条件があります。詳しくは下記のリーフレット(PDF)よりご確認ください。