第1回新・世界ビルメンテナンス大会が開催されました
2023/1/20 18:30 更新
2022年10月、日本(全国協会)が主体となって「世界ビルメンテナンス連盟」が発足し、第1回目となる新・世界ビルメンテナンス大会が開催されました。
スウェーデン、スペインで開催された新・世界大会において、世界ビルメンテナンス連盟設立記念式典や基調講演、各国の主要施設の見学、晩餐会などが行われ、日本から24名が参加しました。
2017年9月にドイツ・ベルリンで開催された「第22回世界大会」以降、コロナ禍の影響もあり、海外のビルメンテナンス業界との交流機会が久しく失われていました。
しかし、コロナ禍だからこそ各国それぞれの「安全と衛生」という文化を共有することの重要性が高まり、そのための世界の交流機会の創出が不可欠であることから、日本が主体となって「世界ビルメンテナンス連盟」を設立し、新たな「世界ビルメンテナンス大会」を企画・実施することとなりました。
大会の開催にあたり、アジアビルメンテナンス連盟(ABMA)の仲間である韓国、台湾、上海の各協会に対しても参加が呼びかけられましたが、コロナ禍の影響により海外渡航は困難な状況であり、残念ながら東アジア圏の国々からの参加は見送られました。
しかしながら、世界ビルメンテナンス連盟の設立と大会趣旨については各国の賛同が得られたため、設立式典では開催国スウェーデンを含む5か国(地域)の国旗が掲揚されました。
10月10日、羽田・成田に参集した日本からの参加者は、同日深夜にスウェーデンへ入国。
翌10月11日には、ストックホルム市庁舎の視察を行いました。ノーベル賞の晩餐会が開かれる「青の間」と、パーティが開かれる「黄金の間」のあるストックホルム市庁舎は、「市役所」でありながらも、まるで博物館のような重厚な雰囲気に包まれており、参加者の目を引きました。
ストックホルム市庁舎の見学後、午後からは同地シェラトンストックホルムにて「世界ビルメンテナンス連盟設立記念式典」が執り行われました。
冒頭、一戸会長から開会の挨拶が述べられ、参加者への御礼が述べられるとともに、今大会の目的と趣旨について説明されました。
また、現地で研修プログラムを支援するスウェーデン・クオリティケアSQCから、エーミル・オストベリ氏を招いての基調講演が行われました。
流暢な日本語で語られたオストベリ氏の講演では、スウェーデンという国の基本的な情報や特色といった概略に始まり、ノーベル賞とその創設者であるアルフレッド・ノーベルの人物像や、地元の住宅事情、公共施設やSDGsに焦点をあてた都市計画と建物のメンテナンスなどについて述べられました。
これに対して、参加者からたくさんの質問が寄せられ、オストベリ氏も一つ一つ丁寧に回答するなど、活発なディスカッションが行われました。
基調講演の後、佐々木浩二副会長が「世界ビルメンテナンス連盟設立趣意書」の採択について提案を行い、全国協会正副会長5名の「発起人会」によって草案がまとめられた「設立趣意書」は、参加者全員による満場一致の拍手によって採択されました。
同時に、初代会長として選任された一戸会長が所信を述べ、新たに「世界ビルメンテナンス連盟」が発足しました。
10月12日には、同市内の王室関連の史跡や、ノーベル賞ゆかりの施設や博物館などの公共施設を訪れるとともに、現地駐在日本大使館公邸への表敬訪問を行いました。
王国としてのスウェーデンならではの施設を視察するために、文字どおり「古い街」を意味する旧市街「ガムラ・スタン」を訪れ、厳かに佇む王宮とともに、ノーベル賞博物館を見学し、また世界遺産に指定されている「ドロットニングホルム宮殿」を視察しました。
大使館公邸では、能化正樹大使から歓迎のご挨拶と、「世界ビルメンテナンス連盟」の設立に対する祝意をいただきました。これに対して、一戸会長が御礼と抱負を含めた挨拶をし、表敬訪問は和やかに執り行われました。
能化大使からは、地理的にも大きな影響を受けているロシア・ウクライナ情勢の対応や、これに伴うエネルギー問題、物価高騰問題、EU諸国との外交などの最新のトピックに関して、スウェーデンという国が置かれた状況と、日本大使館としての立場と役割について説明を受けました。
この後、晩餐会では能化大使に加え坂田誠一一等書記官と、同じく大宮貴史一等書記官が同席し、参加者との情報交換を兼ねた歓談を楽しむなど、またとない貴重な機会が設けられました。
10月13日朝、空路でストックホルムからスペイン・バルセロナへ移動し、オリンピック跡地や競技施設等の見学を行いました。
世界的な建築家であるアントニ・ガウディを輩出したカタルーニャ地方独特の公共施設や建造物、住居や史跡を見学するとともに、ちょうど30年を経た1992年のバルセロナ・オリンピックで使用された競技施設や、日本も多くのファンを抱えるサッカーチーム「FCバルセロナ」のホームスタジアムである「カンプ・ノウ」などを訪れました。
10月14日には、同地のシンボルである「サグラダ・ファミリア」など特徴的な建築物の視察を行いました。
着工から200年経過した今も「永遠に完成しない」と言わるサグラダ・ファミリアでは、工事のクレーンが立てかけられている中で聖堂内部を見学するとともに、現地で主任彫刻家を務めている外尾悦郎氏との面会が実現しました。
ストックホルム同様、ヨーロッパ特有の歴史的な遺産を守るという観点と、世界中から人々が訪れる観光資源として公共施設を維持していくという両面において、異国の「ビルメンテナンス」の文化に触れることができました。
そして同日、最後のプログラムとなる大会解散式が執り行われました。ウクライナ情勢の影響によりロシア上空を回避した航路となり、往復30時間以上のフライトを含む5泊7日に及ぶ長旅となりましたが、全プログラムが無事に終了しました。